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こんにちは、東京原宿クリニック 院長 篠原岳です。
はじめに
健康のためにプロテインを飲み始めたら、お腹がパンパンに張る。ガスが増えて、外出先でも気になる。
せっかく栄養を補おうとしているのに、飲むたびにつらくなると、続けるか迷いますよね。
そんなとき、まず確認したいのは製品の中身と、飲み方です。
乳糖が残っている製品なのか。甘味料や食物繊維が加わっているのか。牛乳に溶かしているのか。食事に加えて、急に飲む量を増やしていないか。
同じ「プロテイン」でも、お腹に入るものは製品や飲み方によって変わります。
機能性医学では、こうした身近な条件を整理しながら、必要に応じて胃の状態、膵臓の消化酵素、腸の動きや細菌の状態まで見ていきます。
何を飲んでいるかと、それを受け止める胃腸の状態を、一緒に考える。
この視点を、無理なく試せる4つのステップにまとめます。
プロテインで張るとき、胃腸で起きていること
タンパク質は、胃から小腸へ順に分解される
タンパク質の消化は、胃で始まります。
胃酸によってタンパク質の構造がほどけ、ペプシンという酵素が分解を進めます。続いて十二指腸では、膵臓から出る消化酵素が働き、小腸で吸収されやすい形になっていきます。
胃で分解を始める → 膵臓の酵素でさらに細かくする → 小腸で吸収する。
この流れのどこに負担がかかっているかは、胃もたれ、便の状態、これまでの病気や服薬から考えます。
一方、プロテインにはタンパク質以外の成分も入っています。お腹の張りを整理するときは、こちらも確認する必要があります。
乳糖や添加成分が、ガスにつながることも
牛乳由来のプロテインに含まれる乳糖は、糖質の一種です。
乳糖を分解する酵素の働きが弱い方では、吸収されずに残った乳糖が腸内細菌によって発酵し、ガスや下痢につながることがあります。症状が出る量には個人差があります。
飲みやすくするための成分にも目を向けます。
ソルビトールやマンニトールなどの糖アルコール、イヌリンやチコリ由来の食物繊維は、お腹が敏感な方で張りやガスのきっかけになることがあります。
腸に良さそうな食物繊維でも、種類や量が急に変わると負担になる場合があるのです。
たとえば、乳糖の残るプロテインを牛乳に溶かし、食物繊維入りの製品も一緒に摂る。こうした組み合わせでは、何に反応しているのか分かりにくくなります。
まずは材料を整理すると、見直す場所が具体的になります。
張りの強さには、腸の動きや感じ方も関わる
便秘でガスが出にくい。急いで飲んで空気をのみ込む。緊張している日は、いつもよりお腹が苦しく感じる。
張りには、ガスの量に加えて、腸の動きや刺激への敏感さ、お腹の筋肉の反応も関わります。
診察では、プロテイン以外の食事でも張るか、便が出ると楽になるか、仕事中と休日で違うか、といった経過も手がかりになります。
成分に反応しているのか、便秘が重なっているのかで、取り組むことが変わるからです。

見直したいのは「足し方」と「お腹の状態」
栄養を補うときは、増やす量にも目を向ける
筋肉や体力のために始めると、表示された量をきちんと飲もうとしがちです。
けれど、張りが出ているときは、いったん減らす、休む、飲み方を変えるという調整を優先しましょう。
2017年にAmerican Journal of Clinical Nutrition誌に掲載された、過体重の成人を対象とする比較試験では、タンパク質の補充によって腸内細菌がつくる代謝産物の構成が変わりました。
確認されたのは、摂る量や種類によって、腸内細菌の働き方が変わりうるということです。張りやガスの増加を確かめた研究ではありません。
日常で役立つのは、増やした栄養が、自分のお腹にどう合っているかを確かめながら進めるという考え方です。
胃もたれが続くなら、薬や胃の病歴も確認する
胃酸はタンパク質の消化を助け、口から入る微生物への防御にも関わっています。
胃粘膜の萎縮や胃酸を抑える薬などは、胃の環境を考えるうえで確認したい背景です。
ただ、胃もたれには胃の動きや刺激への敏感さなども関わります。診察では、痛む場所、食事との関係、ピロリ菌や胃炎の既往、服用中の薬を整理し、必要な検査を選びます。
処方された胃薬は、自己判断で中止せず、処方の目的と現在の症状を主治医と確認してください。
自分に合う摂り方を探す4ステップ
成分や飲み方の調整で落ち着けば、その方法を続けて経過を見ます。症状が残る場合に、胃や腸の評価へ進みます。
つらい症状や体重減少などがある方は、食事の工夫と並行して医療機関に相談してください。
STEP 1:原材料、溶かす飲み物、量を整理する
まず、製品の原材料表示を見てみましょう。
確認したいのは、乳糖、糖アルコール、イヌリンなどです。原材料がシンプルな製品は、反応する成分を整理するときに役立ちます。
ホエイには、濃縮タイプのWPCと、分離タイプのWPIがあります。
一般にWPIはWPCより乳糖が少ない傾向があるため、乳糖が気になる方では選択肢になります。実際の含有量は製品ごとに確認します。
粉だけでなく、溶かす飲み物も確認します。
牛乳で飲んでいるなら、水や乳糖を除いた飲み物に変えた場合の反応が参考になります。植物性プロテインを選ぶ場合も、原料や添加成分を見て選びます。
変える条件は、一つずつ。
飲み物、製品、飲む量をまとめて変えると、どの変更が役立ったか分かりにくくなります。つらいときはいったん休み、再開を考える際は、無理のない量から経過を確かめます。
製品名、飲んだ量、張りが出た時刻、便の状態を簡単に残すと、相談にも役立ちます。
なお、牛乳でじんましんや咳、息苦しさが出た経験がある方は、乳アレルギーの評価を優先してください。WPIや乳由来の加水分解製品にも乳タンパク質が含まれます。自己判断で飲み直すことは避けましょう。
STEP 2:続く症状に合わせて、胃と膵臓を調べる
成分や量を調整しても、胃もたれや下痢が続く。食事全体が取りにくくなっている。
そんな場合は、症状と病歴から、調べる対象を絞ります。
– 胃もたれや胃の痛みが続く場合:ピロリ菌の感染や胃粘膜の状態を確認します。尿素呼気試験や便中抗原検査は感染の有無を、ペプシノゲンは胃粘膜の萎縮などを評価する参考になります。
– 脂っぽい便、慢性的な下痢、体重減少、膵臓の病気の既往がある場合:膵臓の消化酵素の分泌を調べるため、便中膵エラスターゼなどを検討します。
– 疲れや栄養の偏りが気になる場合:食事の摂取状況や体重の経過を確認し、必要な血液検査を組み合わせます。総タンパクやアルブミンは、炎症や肝臓、腎臓の状態も踏まえて読みます。
当院で利用するGI-MAPにも、膵エラスターゼの項目が含まれます。
膵臓の酵素分泌を考える手がかりとして、症状や他の所見と照らし合わせます。水のような便では成分が薄まり、数値が見かけ上低くなることがあるため、採便時の状態も確認します。
ここでは、何の検査で、何を確かめたいのかをそろえることが大切です。
胃酸の働き、膵臓の酵素分泌、全身の栄養状態は、それぞれに合った方法で評価します。
対策も、原因に合わせて選びます。
乳糖への反応なら、乳糖の少ない製品や、乳糖を分解するラクターゼを検討します。膵臓の酵素不足が診断された場合は、医療として膵酵素補充療法を行います。
ベタイン塩酸塩は、胃内を一時的に酸性にする作用が研究されている成分です。プロテイン後の張りへの効果は研究が限られるため、医師の管理下で個別に検討する補助的な選択肢になります。
胃の痛みや逆流症状、潰瘍の既往、痛み止めなどの服薬がある方は、使用前に医師へ相談してください。

STEP 3:便通と小腸の状態まで確認する
プロテインを休んでも張る、ほかの食事でも苦しくなる。そんなときは、便通や腸の動きも確認します。
便秘がある方では、便を出しやすくする対応が先に必要な場合があります。
小腸で細菌が過剰に増え、症状に関わる状態がSIBOです。
小腸内で糖質などの栄養成分が細菌によって代謝され、ガスや張りにつながることがあります。消化管の運動の問題や、手術による構造の変化などは、検討する際の背景になります。
症状が続き、こうした病歴やリスクがある場合には、必要に応じてグルコースやラクツロースを使う呼気検査を検討します。
呼気検査は、発酵によって生じるガスを調べる方法です。腸を通過する速さなどによって結果が変わるため、症状と病歴を合わせて治療方針を考えます。
食間には、胃や小腸の内容物を先へ運ぶ、いわゆる「お掃除の波」が起こります。
この働きを考慮して、だらだら食べ続ける習慣を見直すこともあります。食事間隔の調整は生活上の工夫として取り入れ、SIBOへの治療は背景の病気や腸の動きも含めて進めます。
食事量が少ない方や、空腹時に具合が悪くなる方は、必要な栄養と体調を優先して調整します。
STEP 4:栄養を確保しながら、合う形へ戻していく
お腹がつらくてプロテインを休むときも、卵、魚、肉、豆腐など、食べやすい食品からタンパク質を摂る方法があります。
普段の食事でどのくらい摂れているか、運動量や体調に見合っているかを確認し、補助食品の使い方を考えます。
当院では、乳糖や添加成分、量を見直しても合わない方に、タンパク質をあらかじめ一部分解したペプチド形態を試すことがあります。
2020年のNutrients誌の小規模な比較試験では、胃腸の不調がある成人を対象に、乳糖を除いた乳飲料を比較し、主にカゼインを部分分解した製品で総合的な消化器症状の改善が報告されました。
膨満感やガスの項目では通常製品との差は明確ではなく、製品を選ぶ際の補助的な情報として受け止めます。
ペプチド形態を選ぶときも、乳糖の含有量や添加成分をあわせて確認します。
新しい製品を試すことと、飲む量を増やすことは分け、食後の調子や便通を見ながら進めます。
食事を急いで済ませる習慣、眠りの不足、緊張が続く生活も振り返ります。
落ち着いて食べる時間を確保し、よく噛み、無理なく体を動かす。便秘や強い冷えなどが続く場合は、甲状腺などの評価も必要に応じて加えます。
目標は、食べられるものを保ちながら、自分に合う摂り方を見つけることです。
製品を替えたあとも、張りの強さだけでなく、食事が取れるか、便が出るか、体重が保てているかを一緒に確認します。
早めに受診したいサイン
体重が減る、血便や黒い便が出る、強い腹痛や嘔吐がある、貧血を指摘された場合は、速やかに受診し、症状に応じた検査を受けてください。
飲んだ直後の息苦しさ、のどや舌の腫れ、意識が遠のく感じがある場合は、救急対応が必要です。

まとめ
プロテイン後の張りは、成分と飲み方を整理し、続く症状は胃腸の働きまで確認すると、次に取り組むことが見えてきます。
– 乳糖や糖アルコール、イヌリンなど、製品の中身を確認する。
– 溶かす飲み物や飲む量を、一つずつ調整する。
– 症状が続く場合は、胃、膵臓、便通、小腸の状態を必要に応じて調べる。
– 食事で栄養を確保しながら、合う種類や形態を探す。
栄養を補おうとして出てきた不調です。我慢して飲み続けるより、今の体に合わせて調整して構いません。
機能性医学の良さは、製品の成分と、食事、服薬、胃腸の状態をつなげて考えられるところにあります。
まずは、今飲んでいる製品のラベルと飲み方を確かめるところから始めてみてください。
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※本プログラムは医療行為、診断、治療、または症状の改善を目的としたものではありません。
免責事項
▼ 免責事項
この情報は医療・健康に関する情報提供を目的としたものです。
特定の疾患の診断・治療を目的としたものではありません。
体調に関するご判断は必ず医療機関にご相談ください。
(文責)東京原宿クリニック院長 篠原岳











